虚木零児の仮説置き場

虚木零児が他人の行動に仮説を立てるブログ

文章は推敲しなきゃ大して伝わらない

虚木零児です。

何の気なしに投稿したTweetがちょっとした広がりを見せました。多くの人の目に留まったということは、何かしら見れるものがあったということなのでしょう。世の中、何があるのかわかりませんね。

今回はこれについての 反省会です。

はじめに

実際問題、僕がこれを投稿した時点では「またぞろ出てきたバイトのやらかし動画は低悪な労働環境や賃金の所為」とする意見に対し、「けど、お前ら国会議員の報酬減らしたりするのに熱心だよね?」と嘲弄したかっただけでした。「片方のやらかしには擁護して報酬や労働環境の改善の為に動くのに、他方のやらかしは痛烈に批判して報酬や労働環境を悪化させるのはどういう心理なの?」というお話であり、翻せば「そもそも発言者自身が報酬と労働者の質については相関があると思ってないのでは?」というお話でした。

でした。でしたが……。

反応を見る限り、かなりの人がそういう読み方をしていなかった模様です。すべて私の不徳の致すところでございます。

読まれ方

タイプ1:国会議員の給与を上げるべき

質のいい人材を集める為に高給が必要であるというのなら、国会議員の給与は上げるべきだという意見ですね。別に僕はそこまで踏み込んだ話をしたつもりはありませんでした。ただまあ、バイトの労働環境が悪いから集まる人材の質が悪くなるんだ、という単純なお話であるなら、国会議員の質を上げるためには国会議員の労働環境をよくするべきだというお話であるべきです。そこはよくわかります。

ただ、「そこまで単純な話ではないだろう」という僕のスタンスをこの人達にも読んでもらうためにはせめて「バイトの報酬が低いから質が下がるって言うけど、国会議員の報酬は上げようとしないし、むしろ下げようとするじゃん。報酬が重要だと本当に思ってんの?」ぐらいは必要でしたね。すいません。

タイプ2:国会議員の質はすでに低い

反応をくれた人の割合としてはこちらも多かったです。「正気の沙汰じゃねえじゃん」という文を使ったのは、賃金を下げる→人材の質が下がる→国家運営に悪影響が出るという構図から発言者の狂気を疑っていたからです。ですが、彼ら彼女らには「賃金を下げるまでもなく人材の質が低いのに、更に下げるなんて狂気!」みたいな話と受け取られたのでしょう。そこまでは言ってねえ。が、見直してみると、そう読まれない工夫は一切施されていませんでした。いやあ、申し訳ない。

実際、この話を思いついた当初は国会議員ではなく、経営者が対比されるポジションに入っていました。でも、経営者が面倒を見ているのは一企業に過ぎず、企業の外にいる人にしてみれば経営者の質なんて身近な問題ではないだろうという判断から、質の低下がより身近な脅威である、国会議員へとチェンジしました。その結果、僕が思っている以上に国会議員の不満をいだいている人がいて、思った以上に議員の質への言及が増えてしまったのでしょう。ウケを狙って欲を出したのが裏目に出た感じであります。

飛んできた意見

それぞれの読まれ方の中から飛んできた意見をピックアップ。

タイプ1-1:国会議員の報酬アップがいい結果を生むとは限らない

帝国議会の腐敗を理由にして持論を展開していた人もいらっしゃいました。僕は別に議員を高報酬にしろとは言ったつもりはないので個人的には「そうですか」以上の何物でもない訳ですが、報酬と人材の質がリニアに相関しているとは言い切れない実例の一つではあるよなと思うわけであります。高額な報酬を設定すると報酬目当てにロクでもないのが集まるようになり、登用システムにバグがあればロクでもないのがその地位についてしまうという。辛い。実に辛い。

じゃあ、やっぱりバイトの報酬はそのままで登用システムを見直すだけでいいじゃん。というお話になるので、ポジション的には同じなのかも知れません。まあ、今回はお互いに「アルバイトは」と「国会議員は」という但し書きがついた上での一致なので、同じ意見を持つとまでは言えませんが。

タイプ1-2:報酬が低くても名誉があれば質のいい人材は来る

上の腐敗政治に対する回答の一つなのでしょうが、今回したかったのはそんな話ではないのでどんな顔をすればいいのかわかりません。そもそも発端がバイトのブラック環境こそが、働く人間の質の低下を招いているというお話なのに、ブラックだった頃のワタミのやり方をご披露されてもリアクションに困ります。

そっとしておこう。

タイプ2-1:議員はもらうものもらってる

そこまで言い切るなら根拠を言ってほしかったですね。アルバイトの人が生活に困窮しているからダメなのであって、国会議員は生活に困窮しないから大丈夫というお話なのでしょうか。生活に困窮しない額があれば十分みたいな発想は正気の沙汰じゃないに分類していたつもりなのですが、そのあたりどうなのでしょうか。

実際のところ、この手の論者は仕事に対する正当な報酬額があり、それより低くても高くてもダメだという意見を持っているのではないかと推測しいる次第なのですが、そのボーダーラインが提示されたことがないのでこちらとしても如何ともし難い訳です。ラインを超えている・超えていないが重要なのであって、そこを任意に上げ下げ出来る環境で十分・不十分を決定されても、判断基準がわからないので賛同も否定もし難いものがあります。社会的な合意を得ろとまでは言いませんので、ご自身の考えるこの仕事の適正な報酬額というものを提示して、その根拠を言っていただければこちらも肴にできますのでご一考いただけますと幸いです。

タイプ2-2:そもそも質が最低だから下げても問題ない

そんなこと言ってないの局地。言ってることがあまりに過激すぎる。大体、その理屈だと職場で動画取り出すヤツを理由に賃金下げていいことになるじゃないですか。もっと穏やかな気持で社会に接してください。

タイプ2-3:議員のやらかしの列挙

知ってるから言わなくてもいいよ。

おわりに

国会議員だけ見ても「質のいい人材確保の為に報酬上げるべき」から「報酬に釣られるような人材ではなく意欲を買うべき」まで色々な意見に分かれる訳で、これが発端になったバイトの待遇の話になっても結局、一枚岩にはならんだろうなと思います。どうせなら、こっちの話題で盛り上がってほしかったんですけど、なかなか儘ならないものですね。

誰も話題にしてくれないので、結局自分で言及しますが、前回のエントリでも所感を述べましたとおり、今回のバイトくんの動画投稿やらかしについては個人のモラルによるところが大きく、それが雇用形態・就業形態の間に相関があるのかというと甚だ疑問です。

そもそも昨今の非正規労働者を取り巻く環境、彼らが被害者だという意見の根拠は非正規労働者として正規労働者に劣る待遇にもかかわらず、その責任範囲が大きすぎる」というお話ではなかったのでしょうか。すなわち「能力的には十分なものを持っている非正規労働者たちが、雇用者側から雇用形態を理由に不当な扱いを受けている」という論旨だと理解し、それは問題であると考えていたからこそ彼らの待遇改善に対しては賛意を表明していました。

だからこそ、今回の非正規労働者のモラル無き行動に対しては、自身を律して働いている同じ非正規労働者の立場を危うくする危険な行動であるとして糾弾し、やらかしていない非正規労働者の保護を謳ったくら寿司の判断には一定の評価をした訳です。

だからこそ、やらかしバイトを庇い立てして、企業側に責を追求している人々は何を考えているのかよくわかっていませんでした。

「アルバイトみたいなどこの山のものとも知れない奴に食品を扱わせるな」という意識に立脚していたという衝撃の展開。こういう時、我々はあまりにも無力だと痛感するのでございます。

正社員というだけで驕り高ぶってアルバイトをこき使う正社員と発想が大差ないヤツが味方ヅラしてブイブイ言わせてるというのは想像以上にきつい展開ではございますが、そんな中、非正規労働者はコツコツと生きていくのです。

頑張ってまいりましょう。