虚木零児の仮説置き場

虚木零児が他人の行動に仮説を立てるブログ

それは流石にまずいんじゃあないか

虚木零児です。

賛同した記憶がない人の名前が記載されていたとかで、オープンレターが燃えていますね。発起人は偽造者への強い懸念を示すと同時に、偽造された人たちに事務局へ連絡をするように呼びかけていました。

正直、素人目に見ても事態の収拾はつかないと思います。そう簡単に、という但し書きもいらずに、ただただ、収拾がつかないだろうと推測してます。

賛同署名はリストとして公開されています。こちらを便宜上公開リスト、または単純にリストと呼ぶことにします。ちなみに、これとは別に賛同したけれど公開されていない人たちのリストがあることが推測されています。こちらは非公開リストとでもしておきましょうか。まあ、二度と記事には出てこないですが。

今回問題になったのは、リストに掲載されていた人たちの中に、実際は賛同も署名もしていない人たちが含まれていたことです。おそらく、第三者が名前を騙って署名したことが原因と考えられます。明らかに賛同署名の根幹を揺るがす大問題なんですが、今回の話ではその理由には言及しません。愉快犯だろうが水増し目的だろうが、僕がしたい話においてはどうでもいいので気にしません。

これは何を意味するかといえば、リストに掲載されている名前はどうも不確からしいということです。厳密に言うと、元々真偽は不確かだったにもかかわらず、なんとなくで信じられていたものが、今回著名人の名義が不正利用されていることが判明したことでメッキが剥がれたの方が近いです。そもそも、本人確認なんてできっこないんだ。というのが、発起人の弁明ですからね。相互信頼という脆弱なものの上に組み立てられた、まったく信用に値しないリストであることを彼ら彼女らは理解していて、語っていなかっただけです。

攻撃者の偽造が混じっているということは、現在リストに載っている名前は大雑把に分けて真確定、偽確定、真偽不明の三種類があります。それぞれ、真確定は本人の署名である確認が取れているもの、偽確定は本人の署名でない確認が取れているもの、真偽不明はそのどちらでもないものです。真偽不明も細かく分ければ真推定、偽推定などもありますがあまり深くは追求しません。信用できないという意味ではどちらも大差ないですからね。

さて、今回の事件の落とし所としてはリストの全員の真偽を確定させるのがベストでしょう。理想としては全員の身元を確認した上で署名されるのが理想なのに、法治国家であるがゆえに原理的に不可能という話ですからね。

この場合問題になるのは、全くの架空の人間が記載されていた場合です。存在することの証明はできませんし、かといって、存在しないことの証明は原理的に行えません。架空の人物は、限りなく偽と思われる真偽不明の人として消えることなく残り続けます。

そうすると、現実的な落とし所としては真確定の人だけが記載されたリストを作るのがベターでしょう。真偽がはっきりしない人は一度、リストから消しておいて、賛同してくれたことがはっきりしている人だけをリストに残す。

それすらもできない、ということであれば最悪、偽装が確定された人は記載されてないリストという手も無きにしもあらずです。ただ、それをやってもリストに残っているのは真偽の明らかになってない人たちだけなので信憑性は低いまま。結局、存在しない架空の人物が一掃されたという確証もないし、勝手に使われた名前がなくなったという保証もありません。

……まあ、実際の事務局は三番目の手段を取ってるんですけど。すごい不思議なんですよね。どうしてこんなやり方にしたんだろう。

何がマズイのかと言えば、そのやり方ではどこまでいっても偽確定しか明らかにならないんですよ。厳密な意味での真確定は生まれない。

例えば、今回悪意ある攻撃者があなたの名前を騙って署名し、リストに掲載されてしまったとします。あなたの名前がリストから消えるのには、あなたがリストを確認して自分の名前が掲載されていることを確認し、あなたが問い合わせて初めて偽確定としてリストから名前が消えます。逆に言えば、あなたが問い合わせなければ名前は消えません。偽造された名前にも関わらず。

とはいえ、「勝手に名前を使われたけれども、後追いで賛同するから名前はそのままでいいよ」という可能性もあります。ただし、今の偽確定の人は連絡してください方式では連絡してこなかった人がいたとして、掲載されていることを知らないから放置している人なのか、それとも賛同していてリスト掲載を許容している人なのかは判断をつけられません。

このやり方は事務局の作業は減ります。単純に届いてきたメールに従って、指定された名前をリストから削除するだけになりますからね。それと引き換えに、偽確定の人がリストから完全に消えるのに必要な時間はコントロール不能になります。偽造されて名前を載せられた人がいつまでも確認しなければ、いつまで立っても終わりません。何年、何十年という単位で時間がかかることも当然ありえます。

恐ろしいことに、ユーザー側に確認をお願いしている手前、真偽不明の名前が混じっているリストは掲載し続けななければいけません。誰でも確認できる状態にしておかなければ、勝手に使われている人が気づけなくなりますからね。引っ込められるとしたら、賛同者全員を巻き添えにして白紙撤回したときだけでしょう。それならば、勝手に名前を使われている人がいるという状態からは逃れることができます。なにせ、使われていないことになるので。使ったという過去は消えませんが、使われてはいない。

発起人たちは攻撃者が悪いと喧伝していますが、それは非賛同者が賛同者として扱われている状態を放置していい理由にはならないと思います。心底、どうでもいい話です。このリストに掲載されていることがダメージになるとも思いませんが、賛同していない人間がさも賛同しているかのように扱われ続けているという状態は速やかに解消されて然るべきだと思います。というか、運動の信憑性とか説得力にも影響するんで、マジメにやったほうがいいと思うんですけどね。

僕がやるなら、人を雇ってでもリストの頭からケツまで全員に対して確認を取って、署名した確認が取れた人は引き続き掲載、事実がなかった人はお詫びして外し、連絡が付かなかった人は未確定として一旦掲載を取りやめ、ぐらいの措置はやりたい。そうすれば、最悪ケツまで確認した時点で真確定リストはできます。初回連絡で真確定が取れなかった人があとから追加される可能性があるので、完全なリストではないですが、それでも真偽不明の混じった信憑性の低い状態ではなくなります。

今のやり方だと、真偽不明の人たちが全員確認してくれたかは、リストの管理者たちにはわかりようがありません。繰り返しになりますが、名前について異議を唱えてこない人たちは大きく分けると二種類いて、ひとつは掲載されていることに納得している人、もうひとつは掲載されていることに気づいていない人です。後者が掲載されていることに気づいた場合、異議を唱えないという保証はどこにもありません。見切りで「これが最終版です!」とリストを出したあとに、気づいていなかった人が「なんで俺の名前が載っているんだ!」と騒ぎ出したらどうするつもりなのか。甚だ疑問ではあります。

ただ、これは僕が僕なりに考えた落とし所に向けた、僕なりに考えた手続きの話をしているので、事務局が落とし込みたい形が違うというなら従う必要はありません。偽造と確定したものだけ消して、あとは残しておいていいんだ。法的にはこれで十分なんだ。という話なのであれば、別にそれでいいと思います。

勝手に使われた人の名前を、その人に指摘されるまで使い続けるというのは、かなり不誠実な話だと思いますが。果たして……。