虚木零児です。
最近、グーグルが何を学習したのか、こういうTogetterをオススメしてくるようになったんですよ。心当たりがあるのでオススメされてしまう点については特に意見はないんですが、偶にこう、フィットするのが出てくるとグーグルやるじゃん。と思います。
これとか、新聞がイケてないよねって部分が詰まってて最高に好き。
特にこの辺が端的に表してて最高にエモい。
取材は無報酬が原則です。金銭の介在により、真実性が歪みかねないからです。非常識、というものがあり得るとすれば、無報酬原則を相手に押しつけてごねたり、秘したりといった場合です。取材側は基本、無報酬でお願いしますが、そこに納得がいかなければ断っていただいて全然OKなんです。 https://t.co/6gAKs66YD4
— ききかじり記者 (@shirikajikisha) 2022年9月16日
この手の指摘はよくありますが、少なくとも、私の周りでは聞いたことありません。経営と編集の分離という考え方が業界にあるからです。広告を扱う部門の人も「気にせず書け」と言ってくれるのが通常です。結局、そうした原理が尊重されずに新聞の信頼低下につながることが最大の不利益になるからです。 https://t.co/UzGU8IdXE1
— ききかじり記者 (@shirikajikisha) 2022年9月17日
一生聞きかじっててほしい。
先に言っておくと、僕が言いたいのは「メディアはスポンサーに忖度しているだろう!」とか「自分たちを棚上げして嘘を吐くな!」とか、そういう話ではないです*1。実態はどうあれ、彼らはスポンサードしてる企業の不正があれば、資金の流れが止まろうとも真実を明るみに出してやるという自負を抱いているんだと思いますよ。素晴らしいですね。
その上でゴミだなと思うのは、話を聞きに行く専門家にはそんな高潔な精神はなく、報酬のためなら事実を捻じ曲げることもあるだろう。と本気で信じていることです。
莫迦にしすぎだよなー。人のこと。
これでもし、莫迦にしてるつもりがないなら、事態はより深刻で「報酬は人の行動を歪める」としつつ、同時に「金銭授受があっても人の行動が歪まない」という二つの例を出していることに気づいていないという話になります。いいのか、それで。
擁護しておくと、金銭授受を大っぴらにすると集まってくる情報が怪しいことになるという話は実際にあると思います。昔、西友で産地偽装があって返金という話になったとき、レシート無しでも対応としたところ、出自の怪しい有象無象が湧いて出てきた話がありました。
スーパー側の対応の趣旨としては「偽装によって被害を受けたお客様に対して保証する。お客様のことは疑わない」という話なんですが、一応の証拠であるレシートもなしに、被害を受けたという申告だけで良いとしてしまったので、被害を受けたわけでもない魑魅魍魎が集まってきて……という話ですね。
実際、犯罪通報に報奨金をかけると通報が一気に増えるものの怪しげな情報も少なくない、とはまことしやかに囁かれてはいます。それっぽい情報をでっち上げてから通報されると安易に切って捨てることもできず、検証に捜査の手を取られるのでかえって逆効果という意見も見掛けたことはあります*2し、偽装肉返金の顛末を見るとそういう状況もあり得ないとは言えないでしょう。
ならば、新聞が取材相手に対して無報酬というのは金銭目当で怪しげな情報を売り付けられるのを防ぐという意味では一定機能しているのだと思います。そこはいいよ。
ただ、今回に関しては取り上げたい題材がある中で、ある人にお力添えをいただきたい、お知恵をお貸しいただきたいというお話を持っていく立場な訳です。どこの馬の骨ともしれない連中が寄ってきたのではなく、お前が金を払えばご機嫌伺いで適当なことを言う人間に声を掛けたんだろ。とは思いますよね。さらに言えば、そんな人間が金を払わなかったからと真実を話してくれる……というのもおおよそ信じ難い話です。
だいたい、先刻の意見にしても「人は報酬欲しさに相手の興味を引く嘘を言うことがある。だから、情報提供に安易に報酬を出してはいけない」という論旨であって「無報酬でもたらされた情報は真実性が担保されている」なんて、一言も言ってないと思うんですよね。その理論を専門家に当てはめるということは、該当の専門家に対して「金を払うと事実を捻じ曲げて、適当なことをベラベラ言うに違いない」という偏見の自白に等しいんじゃないですか?
実態としては「取材に報酬を払うと、怪しい情報を売り込みに来る輩が出るので、付け入る隙を見せないために一律でお支払いしてない」なんじゃないかなとは思います。ただ、それならそう言えという話です。金銭の介在によって真実性が歪むと金銭目当ての怪しい情報がもたらされるは全く意味合いが異なります。
「宣伝してやるなんて意識はない」ってのも最高に愉快で、そういう意識だから売名目当ての真偽も怪しいガセネタ掴まされるんじゃないですかという話ではあります。新聞掲載されて人目につくことが目的の人達は、金銭を求めてはいないわけですから、金銭授受があった/なかったはどうでもいい話であり、掲載されて目立った/目立たなかったが重要なんですよ。自分たちの発信は大なり小なり世間への影響力があるのだという意識を持って、利用されないようにと自衛するぐらいは必要だと思いますが。
「いやいや、しがない売文屋が広告するなんて烏滸がましい」とばかりに意識はないと言い張ってはみるものの、舌の根も乾かぬうちに「でも、皆さんお金が貰えるとなるとねぇ? 嘘も吐いちゃいますよねぇ?」という話を持ってくる。これだと結局、他人を見下してることに変わりはないですからね。
論理の中から自分の都合のいい部分だけを切り貼りして全体としては一貫性のない態度ががっつり嫌われているんだと思いますよ。私なんぞは。