虚木零児の仮説置き場

虚木零児が他人の行動に仮説を立てるブログ

その理屈はおかしい

虚木零児です。

正直、朝から掛け算の順序っていうクソみたいな話題を見かけて悲しい気持ちになったのですが、それはそれとして得るものがあったのでエントリーにします。

言わんとすることはわからんこともないんですよ。掛け算のテストだから出てきた数字をかけ合わせればいいだろ――で、それぞれの数字の意味を理解していない様では困るんですね。身につけてほしいのはテストの解法ではなく、物事の考え方なんだという話ならば納得できない部分もあるっちゃある。

ただね、だったら試験方法がそうはならんだろ。という話があるんですよね。

一応整理しておくと、掛け算に順序があるという人は、左側にかけられる数を右側にかける数をもってこいと言い出すんですよ。かける数とかかけられる数とか正直、何を言っているのかさっぱりわからないんでしょうが、まあ、そういう強迫観念に囚われている人がいると思いましょう。

例えば、冒頭で出したTweetから抜粋すると高さ6cmの箱を2個積み上げたら全部で何cmですか。だと、1箱辺りの高さ6cmがかけられる数でそれの個数2個がかける数、だから6*2だろって主張ですね。2*6だと1箱辺り2cmが6箱になってしまうんですって。いや、まあ真面目に考えるとそんな訳ないんですけど、なるということにしましょう。

その理屈で言えば、6*2じゃないとバツっていうのはわかるんですよ。理屈はよくわからないけども、謎の理屈に従うなら、たしかに2*6にはならない。

でもこれって、「高さ6cmの箱を2個積み上げたら、何cmの高さになりますか」っていう問いかけだけでは、本当に1個辺りの数字*個数という数式を作れるかどうかはまだわからないんですよね。というのも、今の時点では出てきた順番に数字を書いた可能性が否定しきれないですよ。

だから、ちゃんと理解しているかどうかを確認するためには、「3袋に4枚ずつクッキーが入っている時、全部でクッキーは何枚ありますか」を試す必要があるんですよね。これは単純に順番通りに数字をひろうと3*4になってしまい、1個あたりの数字は左側にないといけないというルールに反する。正しくは4*3でなければならない訳ですから、ここでもちゃんと数式を作れるなら、正しく1個あたりの数字かけることの個数という理屈を正しく理解していると言えるでしょう。まあ、理屈自体は正しくもなんともないんですけども。

じゃあもう一度Tweetに戻っていただいて、テストの問題を見直してほしい。確認できる問題って「6cmの箱を2個積んだら何cm?」と「アメ7個入りの袋が4つある時、アメは何個?」と「8cmの3倍は何cm?」ですよね。試験としてはこの手の問題を何回解かせても全く意味がないんですよ。数字が出てきた順番にピックして、式に乗せれば正解になる文章を何回解かせても、理屈を理解しているかどうかは測れません。この試験作った奴は脳みそをどこに落としてきてしまったのでしょうか。子供に勉強教える前に、まず自分の思考能力を取り戻していただきたい。

テストの観点に対して、テストの工程がおかしいんですね。

冒頭のTweetに従えば、小学2年制の掛け算のテストでは

  1. 文章に出てくる数字の意味を理解できること
  2. それぞれの数字を適切に組み合わせて掛け算できること

の2点を観点として確認しなければいけません。

すなわち、文章に出てくる数字の意味を理解できていなければ、解決できない問題でなければ試験として機能しません。

僕だったら「チョコの入った箱が6箱あります。高さは3cmで、箱の中には4個のチョコレートが入っています」から「1:積み上げた時の高さはいくつでしょう」と「2:チョコは全部でいくつでしょう」という問題を作ります。1は3*6、2は4*6です。ここで3*4とか書いちゃう奴はNGです。1箱あたりの高さと、1箱あたりの入数をかけ合わせてしまうのは、数字の意味を理解していないか、適切な組み合わせを構築できないかのいずれかに引っかかっている可能性が高い。

二問目は「重さ2kgの鉄球が3個入った袋が4袋あります」から「ア:1袋の重さは何kgでしょう」と「イ:鉄球は全部で何個あるでしょう」にしましょうか。ここで1番最初に出てきた数字に、2番目に出てきた数字をかける式と、3番目に出てきた数字をかける式を同時に解答にしてはいけません。二問目の確認観点には新たに

  • 独自の法則性に基づいて動いていないこと

を確認する観点が必要です。つまりは、1番目*2番目、1番目*3番目を思考せずに記述する奴は落第させる必要があります。僕の考えた二問目なら、アの問いかけは2kg/個(1番目)*3個/袋(2番目)なので通ってしまいますが、イの答えは3個/袋(2番目)*4袋(3番目)なのでそこで「2*4」とか書いてしまうような残念な奴がいても気づくことができます。

「サーキットには車が3台あり、それぞれタイヤが4輪、シートが2席ついています」とかもいいんじゃないでしょうか。タイヤは全部で何輪なら4(2番目)*3(1番目)になるし、2(3番目)*3(1番目)の数式が作れない奴はどこかを理解できていません。

 

まあ、逆に言えばそういう問いかけをしないということは、実際のところ、掛け算の順序なんてものが本当に重要だとは微塵も思っていないか、あるいは、誰かの受け売りで順序が重要であるようなことを言っているものの、理解している訳ではないとか、いずれにせよ、深く考えてはいないんじゃないかと邪推されても仕方ないんじゃないかと私なんぞは思う訳ですが。

真相はいかに。