虚木零児の仮説置き場

虚木零児が他人の行動に仮説を立てるブログ

部屋とワイシャツと私、ステロタイプと使用済み下着と俺

虚木零児です。

意識高い人たちいわく人権先進国であるドイツから人種差別的なCMが登場したことをを受けて日本人がお怒りです。

しかしながら、人権の最先端ドイツ人の手にかかれば差別ではなくなるご様子。

ottimomusita.hatenablog.com

こういう言論プロレスリングはエンターテイメントの華ですね。

私の目から見て、今回のCMはゴリゴリの人種差別な訳ですよ。だって、そうじゃないですか。日本には使用済み下着を売る自販機があるらしい。という情報に基づき、それを日本人全体の特徴であるかのように拡大し、それを理由に日本人の女性が下着を愛好している姿を描写する。人種に対するステロタイプを悪用した侮蔑的表現と言ってもよく、ネイティブ・アメリカンを鷲鼻に描いたり、顔を黒く塗って黒人に扮したりするのと同類のやり口じゃないですか。

ところが、先刻リンクしたブログでは差別ではないって理論でワンサイドゲームが展開されてて、なんていうか、悲しい気持ちになる訳です。どうしてこうなった。

まあでも、よくよく見てみるとブログの主は日本人女性の前で盾を構えているんですよね。「これは日本人という人種に対する差別である」って言いながら、実際に守ろうとしてるのは日本人の女性だけ。そこからアジア人女性にまで範囲を広げることはあっても、日本人の男性を守ろうという動きは見えません。そればかりか、日本人男性が変態的であることを認める始末。自分自身が日本人全体に対する差別だとは思っていないんじゃないかと疑ってしまうし、ドイツ人から「人種差別ではない」って一蹴されてしまうのも仕方のないことなのかなと思います。

今回は、日本人に対して「変態」というステロタイプに基づいた揶揄をすること自体が問題である訳で、もしのCMで男女が逆転して、ドイツ人女性の下着の匂いを嗅ぐ日本人男性という描写であったとしても、やはり日本人に対する人種差別であることは変わりません。もしも、ドイツ人たちが言う通り日本に下着の自販機があることが事実であったとしても、それを過度に一般化して日本人全体を色眼鏡で見ることを正当化はしません。

正直、「批判は日本人男性に向かうべき」とか「ビールやザワークラウトのような例と今回の件は違う」とかのんきなことを言っている場合ではありません。というか、この期に及んでそんな場所で盾を構えている辺り、日本人男性は実際に変態だからこういう扱いも仕方ないが、女性にまで拡大するのはおかしいみたいなことを言い出そうとしていないか心配になります。同じ日本人を背中から撃つんじゃあない。

そもそも、我々が自国の女性が変態的に扱われたことに憤るように、ドイツ人の中には何かとビールやザワークラウトに結び付けられることに怒りを覚えている人もいるかも知れない訳です。そう考えると、「今回の件はビールやザワークラウトのようなステロタイプとは違う」といった言動は、ドイツとビールなどを結びつけるのは悪行ではないと読み取れてしまい兼ねず、大変迂闊であると言えるのではないでしょうか。我々の浅慮からくる先入観に基づいた決めつけやイメージの押しつけによって傷つく人が居なかったことを祈りつつ、こういう悪癖については根気強く改めていくべきだなとぼんやりと考えたりしました。

まあ、それはそれとして、異性の着用した衣服から漂う匂いで恍惚とするのが許されざる行為なのかという疑問と、たとえそういう嗜好があっても何ら恥じることはない世の中になってほしいという願いが私の胸の中にあるのも事実。自分自身の性癖が簡単に否定されるような世の中にはなってほしくないものです。

世間にはいろいろなおもしろい人がいて、そういう方々が面白おかしく生きていける世界が長く続くことを切に願います。