虚木零児です。
夏も終わり、肌寒い日が続いて冬も近いかという時期に恐縮なんですが、今回は少しばかりホラーチックなお話を持ってまいりました。
コールセンターの怖い話ですか?本当にありますよ。本人から契約内容確認の電話が来て終話した直後にその人の父親から「娘が亡くなったので契約を解除したい」と電話があり直前の録音確認したらこっちのオペレーターの音声しか残ってなかったとかね
— N15H1 (@h1_n15) 2021年10月23日
ヒエーーーーッ!!
簡単に整理するとこういうことでしょう。
本来であれば死んでいる女性と会話できるはずがないのに、コールセンターのオペレータは会話ができている(図中の青い線)上、その通話の録音内容を確認すると相手――つまり件の女性――の音声は残っていなかった……オペレーターが直前まで行っていた通話は相手は誰だったのか? まさか、霊界と繋がっていて、死者と会話をしていたとでも言うのだろうか?
キャーーー!!
……という話をしたかったので、敢えて描かなかったんですが、本来はここにもう一本「通話録音システム」っていう線が存在していて、オペレータと女性の間に存在していると考えられます。
ちょっと詳しい話をするために、今回の話に出てくる機械類の構造についてお話をします。僕の経験上、重要そうな部分だけ抜粋した上ですごいざっくり描くとこんな感じだと思います。
おそらく現代日本の電話を使用して会話していると推測される以上、発話者と通話者の間には論理的には送信と受信で2本のラインが存在するはず*1。図では赤がオペレータ→通話相手への音声を、青が通話相手→オペレータへの音声をやりとりするラインとしています。
特に通話に問題があったという証言はないので、相手からオペレータまでの間の赤青のラインにはどちらも問題がなかったと考えられます。ネットワークやシステム機器のラインの問題であれば、通話の時点で何らかの異常が発生するはずですので。
ただ、後々録音を確認した際に、通話相手の発話が一切残っていなかったということですので、録音システムから左にあるストレージ*2に伸びている青いラインに何らかの問題があったと考えられます。ここらへんはシステムの動作仕様に踏み込んだ話になるので推測になってしまいますが、上図で言うところの青いラインの音声を保存する段でエラーなりが生じて保存失敗、赤いラインの音声だけが保存できていたので一方的にオペレータが話し続ける録音データが完成した。ということは十二分にありえる話じゃないでしょうか。
つまり、女性とオペレータの会話は現実に起きていたことなんだけれども、通話録音システム周辺のトラブルによって女性の発話がデータに残されておらず、そこに女性が死亡しているという情報が入ってきたことによって、死んだはずの女性との会話したという状況と死んだはずの女性の発言"だけ"が消えた会話という録音データが噛み合って、まるで死者と会話でもしたかのような物語が出来上がった。という訳です。
もちろん、その当時の通話録音システムのログなどを確認しないと確実なことは何もないので、この推論を持って話してくれた人を嘘つき呼ばわりしたい訳ではありません。通話録音システム側にはエラーがなくて、入ってきた音声信号には一切の音がなかったというログが残っているかも知れない。その場合、女性の音声は青いラインを経由せずにオペレータの耳に入っていることになるので幽霊が受話器の当たっている耳元で話しかけていたとかそういう話になります。ひぇー……ガクガクブルブル
とは言え、女性からの音声だけが消えることが原理的に起こりうる以上、それすなわち「不思議なことが起きたのだ。」という話にはならない。ので、めちゃくちゃに恐れる必要もないんじゃないか、とは思っていただたでしょう。
まあ、仮に死亡したのがウソで、本当に女性との会話はあって録音トラブルによって保存されていなかっただけ。としても、結局、その後に父親を名乗る人物からの「死亡した娘の契約を解除したい」というウソの連絡(図中赤ライン)が入ったことになるので……
といったところで、おしまいです。